[[授業]]

担当:小林、TA:M1岩本


*第1回(2017.11.10) 概要〜第1章 システムを状態方程式で記述する [#f4bd6a58]
&color(blue,orange){この授業の目的:与えられた物理系に対して、最適制御系を設計できるようになる};
- シラバス &ref(syllabus.pdf);
- 成績の評価方法と評価項目:レポート(36% = 6点×6回=36点)、期末テスト(64%)
-教科書:[[「演習で学ぶ現代制御理論」(森 泰親 著、森北出版)>https://www.morikita.co.jp/books/book/2368/]]
- 古典制御と現代制御の違い(長所と短所)
- 伝達関数と状態空間表現の関係(簡単な運動方程式を例に)

#ref(2017.11.10-1.jpg,left,noimg,板書1)
#ref(2017.11.10-2.jpg,left,noimg,板書2)
#ref(2017.11.10-3.jpg,left,noimg,板書3)
#ref(2017.11.10-4.jpg,left,noimg,板書4)
#ref(2017.11.10-5.jpg,left,noimg,板書5)
#ref(2017.11.10-6.jpg,left,noimg,板書6)

-Q: 3次元のTFをSSRに変換するときSSRのxはどのようにとっているのか
-A: &ref(授業/動的システムの解析と制御2015/ctrbf.pdf);を参考にしてください。
\[ x = \left[ \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{array} \right]\]
とおくと、
\[ x_2 = \dot x_1, \quad x_3 = \dot x_2 = \ddot x_1 \]
より
\[ x = \left[ \begin{array}{c} x_1 \\ \dot x_1 \\ \ddot x_1 \end{array} \right]\]
となります。また、入力 u との関係は、
\[ \dot x_3 = - a_0 x_1 - a_1 x_2 - a_2 x_3 + u \]
すなわち
\[ x_1^{(3)} = -a_0 x_1 - a_1 \dot x_1 - a_2 \ddot x_1 + u \]
です。伝達関数の方が分かり易いと思いますが、上式をラプラス変換すると
\[ (s^3 + a_2 s^2 + a_1 s + a_0)X_1(s) = U(s) \]
より
\[ \frac{X_1(s)}{U(s)} = \frac{1}{s^3 + a_2 s^2 + a_1 s +  a_0} \]
の関係が成り立ちます。わからなければまた聞いてください。

-Q: 文字が小さかった。
-Q: 文字が小さい(特にそえ字)
-A: 履修者が少ないため、できるだけ前の方に着席願います。それでも小さければ、また指摘してください。できれば授業中に教えてもらえると、すぐ対応でき助かります。

#ref(report1.pdf,left,レポート1回目);

*第2回(2017.11.17)第2章 システムの応答と安定性 [#lc7f1bd1]

- 解析問題と設計問題: 解析が基本、今日は解析を扱う。特に安定性
- 古典制御における安定性:インパルス応答がt→∞で0に収束する
- ⇔ 現代制御における安定性:任意の初期値に対する応答がt→∞で0に収束する
- ⇔ 伝達関数の極の実部がすべて負
- ⇔ A行列の固有値の実部がすべて負
- 復習:たたみこみのラプラス変換、行列の固有値と固有ベクトル、逆行列
- 状態遷移行列の定義、状態遷移行列のラプラス変換

#ref(2017.11.17-1.jpg,left,noimg,板書1);
#ref(2017.11.17-2.jpg,left,noimg,板書2);
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#ref(2017.11.17-5.jpg,left,noimg,板書5);
#ref(2017.11.17-6.jpg,left,noimg,板書6);

-Q: これ
\[ \forall \]
が何かわかりませんでした
-A: 全ての、です。つまり、
\[ {}^\forall x(0) \]
は、全ての x(0) に対して、という意味になります。

-Q: u(t) = δ(t) とすることで x(0) を任意に指定できると同じの意味がよく分からない。
y(0) = cb なら y = cx より x(0) = b のときしか考えられないのではないですか
-A: 入力信号 u(t) として δ関数を許せば、x(0) が零じゃない場合を扱える、という主旨の説明でした。この先の質問と思います。u(t) = δ(t) とする限り、確かに x(0) = b の場合のみしか扱えません。しかし、δ(t) の実数α倍 u(t) = α δ(t) とすると、x(0) = αb、つまり任意の初期値が指定できます。分からなければまた聞いてください。

-Q: x(0) が Aの固有ベクトルでないときは初期値応答の収束条件はどのように考えるのですか
-A: x(0) がどのように与えられたとしてもその応答が 0 に収束する条件、が安定条件の定義ですので、全ての x(0) を調べる必要があります。そのためには、Aの固有ベクトル全てを調べることが必要十分です。つまり、任意に与えられた x(0) は固有ベクトルの線形結合で表されるので、その応答も、
各固有ベクトルが別々に入力されたときの応答の線形結合で表されます。
さらに言えば、固有ベクトルではない x(0) が存在して、その応答が0に収束しなかったとすると、
必ず実部が非負の固有値が少なくとも1個存在することが示されます。
上記二つの質問はとても良い質問ですので、できれば授業中に質問してもらえると、他の人も助かると思います。

-Q: 古典制御の安定性の条件。
伝達関数の「全ての」極の実部が負であるときですよね?
-A: その通りです。

#ref(report2.pdf,left,レポート2回目);


*第3回(2017.11.24) 第3章 可制御性(3.3可制御性とその条件), 第5章 極配置法(5.1 フィードバック係数ベクトルを直接計算する) [#qabc0746]

-解析から設計へ、出力フィードバック(難)→状態フィードバック(簡単、基本)
-閉ループ系のA行列 = A - BF
-A-BFの固有値をFによって任意に指定できる=可制御性
-例1(Fによる固有値の指定不可)、例1'(指定可)
-可制御性の定義
-可制御性の判定方法(可制御性行列の正則性)
-レポート対策

#ref(2017.11.24-1.jpg,left,noimg,板書1);
#ref(2017.11.24-2.jpg,left,noimg,板書2);
#ref(2017.11.24-3.jpg,left,noimg,板書3);
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#ref(2017.11.24-5.jpg,left,noimg,板書5);
#ref(2017.11.24-6.jpg,left,noimg,板書6);



//■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
&color(black,red){&size(20){!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!以下は過去の情報です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!};};


-Q: レポート課題1について、左向きに外力fが働いているので、台車は左に動くと考え、ばねとダンパの力はその逆方向に働くとし、運動方程式を
\[ M \ddot x = -f + (K_1 + K_2)x + D \dot x \]
と書きましたが、間違いでした。なぜ
\[ M \ddot x = -f - (K_1 + K_2)x - D \dot x \]
になるのでしょうか。
-A: 「左向き」の外力を -f と表すのは、右向きに変位xの正方向をとっているからです(授業中およびレポートの図の通りです)。よって、x が正の変位をしたときに、ばねによる復元力は「左向き」に正の力として働くため、「右向き」に
\[ -(K_1 + K_2)x \]
となります。速度の項も同様です。

-Q: 例1''の問題は、固有値を求める |λI-(A-BF)|のやり方でも求められるのですか?
-A: 不可制御であることが示せるか?という意味ですね。示せます。
\[ |\lambda I - (A - BF) | = ... = \lambda^2 + (f_1 + f_2 - 2) \lambda + (1 - f_1 -f_2) = 0 \]
となり、パッと見、二つの係数を f1 と f2 で自由に調整できそうな気がしますが、できません。
つまり、二つの係数を
\[ a_1 = f_1 + f_2 - 2, \quad a_0 = 1 - f_1 - f_2 \]
とおくと、
\[ f_1 + f_2 = a_1 + 2 = 1 - a_0 \] 
が成り立たなくてはならず、任意に与えられた a0, a1 を f1, f2 で表現することはできません。よって不可制御であることがわかります。 

-Q: 授業の複習(復習:小林 註)のために教科書を買いたいのでタイトルなどを教えてほしい
-A: このページの上の方に、教科書のリンクが張ってあります。初回の授業で伝えた通りです。 

-Q: 状態フィードバックと出力フィードバック線図の違いが分からなかった
-A: コントローラが、出力 y を使うか、それとも状態 x を使うか、の違いです。
両者には 
\[ y = C x \]
の関係があるので、コントローラ側で状態 x が利用できるならば、出力 y を利用する意味はありません(x に C をかけたものが y なので、y を利用しても、x 以上の情報は得られない)。しかし現実には多くの場合、状態 x はコントローラ側で利用できるとは限らず、その場合 y しか使えません(u と y から x を推定する機構に状態観測器があり、この授業の最後に扱います)。わからなければまた聞いてください。 


#ref(report3.pdf,left,レポート3回目);


*第4回(2016.11.25) 第6章 最適レギュレータ §6.1 評価関数と最適制御 [#pfab0884]
- 簡単な例題(a, x, b, u, f がすべてスカラ、b > 0)... 最適制御を直感的に理解できる
- (i) x(t)→0の収束する速さ、(ii) u(t)を小さく抑えること、にトレードオフがある
- 極配置法では、(i),(ii)のバランスを客観的に取りにくい
- 最適制御では、(i),(ii)のバランスを客観的に取れる
- 最適レギュレータ問題と、その解(リカッチ方程式、P>0)
- 最適制御の結果を使わずに J を最小化する f を求める ... f の二次方程式、閉ループが安定となる解を選ぶ(行列の場合:&ref(授業/動的システムの解析と制御2015/proof4.pdf);)
- *1:f の二次方程式とリカッチ方程式の関係
- *2:閉ループ系の安定性と P > 0 の関係
- *3:Jの最小値を求める
- q を大きくする((i) を重視する)と、|a-bf| が大きくなる

#ref(2016.11.25-1.jpg,left,noimg,板書1);
#ref(2016.11.25-2.jpg,left,noimg,板書2);
#ref(2016.11.25-3.jpg,left,noimg,板書3);
#ref(2016.11.25-4.jpg,left,noimg,板書4);

-Q: 授業では「リカッチ代数方程式」だったのですが私が他所で以前に学んだ際は「リッカチ」でありました。どちらを使ってもいいですか?
-A: 良いです。私も学生の頃、両方の例に触れて混乱しました。そのまま Riccati と書いている和書もあります。

-Q: なぜ \[ \frac{dJ}{df} \] とする必要があるのですか?
-A: J を最小化する f を求めるためです。授業で扱った簡単な例の場合は J が f の関数として表せるので、それができます。

-Q: □5 で \[ J = \frac{(q+rf^2)x^2(0)}{4(bf-a)} \] としたのが
□6 で \[ \frac{dJ}{df} = \frac{d}{df}\frac{q+rf^2}{bf-a} = 0 \] となったが 4 と x(0) はなぜ消えたの分からなかった。
-A: まず、正しくは(板書の通り)
\[ \frac{dJ}{df} = 0 \Leftrightarrow \frac{d}{df}\frac{q+rf^2}{bf-a} = 0 \] 
ですので注意してください(両向きの矢印は、両側に書かれた条件が等価である、という意味です)。4 と x(0) は定数なので、J の最小化に無関係のため、消えます。
授業中に質問してもらえると、周りの人も助かると思います。

#ref(report4.pdf,left,レポート4回目);


*第5回(2016.12.2) 第6章つづき〜 §6.2 重み行列と正定・半正定、§6.3最適制御系の安定性 [#o1610175]

- 行列へ拡張: q→Q≧0, r→R>0
- (半)正定行列の定義
- 対称行列の固有値と正定性の関係(演習6.6), 対称行列の固有値はすべて実数(演習6.8) &ref(授業/動的システムの解析と制御2015/proof3.pdf);
- 最適制御⇒安定かつJが最小 &ref(授業/動的システムの解析と制御2015/proof4.pdf,left,証明、前回示したpdfファイルと同一);
- 最適レギュレータの設計(演習6.3,6.4):リカッチ方程式の解P、P > 0 ⇒ 対応する F が閉ループ系を安定化

#ref(2016.12.02-1.jpg,left,noimg,板書1);
#ref(2016.12.02-2.jpg,left,noimg,板書2);
#ref(2016.12.02-3.jpg,left,noimg,板書3);
#ref(2016.12.02-4.jpg,left,noimg,板書4);
#ref(2016.12.02-5.jpg,left,noimg,板書5);

-Q: □3の
\[ 2(x_1^2 + x_1 x_2 + x_2^2) = 2 \left( \left(x_1 + \frac{1}{2}x_2\right)^2 - \frac{1}{4}x_2^2 + \frac{4}{4}x_2^2\right) \]
がわからないです。
-A x1 と x2 の積の項を含まない表現を得るために(この説明が不足していたかもしれません)、
\[ x_1^2 + x_1 x_2 = \left(x_1 + \frac{1}{2} x_2 \right)^2 - \frac{1}{4}x_2^2 \]
と平方完成しています。
\[ x_2^2 + x_1 x_2 = \left(x_2 + \frac{1}{2} x_1 \right)^2 - \frac{1}{4}x_1^2 \]
でも良いです。

#ref(report5.pdf,left,レポート5回目);

*第6回(2016.12.9) §9.1状態観測器の構造 [#ua91d046]
- 状態xが使えない場合
- (方法1) 状態の代わりに出力yを使う = 静的出力フィードバック ⇒ ダメ
- 別の方法:状態を推定して、それをxの代わりに使う
- 状態観測器の定義:t→∞で誤差 x(t) の推定誤差が0となる
- (方法2) 状態観測器? (演習9.1) + 状態フィードバック ⇒ ダメ
- (方法3) 状態観測器((9.3)式, 演習9.2) + 状態フィードバック
- 状態観測器を作る((9.3)式の導出、方法2は状態観測器にならない)
- 可観測性(可制御性との関係)
- 演習9.3':A - L C を安定(固有値の実部がすべて負)とする L の求め方

#ref(2016.12.09-1.jpg,left,noimg,板書1);
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#ref(2016.12.09-4.jpg,left,noimg,板書4);

-Q: 課題の点数が毎回3点で成績がとても不安です。
-A: しっかり復習しているなら(次に同じ問題に正答できるなら)大丈夫です。期末テストは数値を変えて出題するだけなので。

#ref(report6.pdf,left,レポート6回目);

*第7回(2016.12.16) §9.3併合系の固有値 [#eb68be2d]
- 方法3で安定化できる理由:閉ループ系の固有値 = A - BF と A - LC の固有値
- 方法3が評価関数Jの最小値に与える影響?
- A-LC の固有値の実部が-∞に近づくように L を設定すると何が起こるか?

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#ref(2016.12.16-4.jpg,left,noimg,板書4);

-Q: 古典制御との関連の部分において
\[ -l(\hat x - x) \]
ではなく
\[ -l(\hat x - y) \]
とたのはなぜですか。
-A: c = 1 で、y = x の場合を考えたので、どちらも同じです。
が、コントローラの伝達関数を求めるため(Y(s)とU(s)の比を求めるため)、
中間変数の x を早めに消去しました。

*第8回(2016.12.23) 期末テスト, 授業アンケート実施 [#d6d97e48]
- 試験内容: レポート課題の中から、数値を変えて出題する
- 持ち込み可能なもの: 筆記用具のみ
- 試験時間: 85分
- 授業アンケート(本科目の前半・後半をまとめて)

&color(red){&size(25){2016.12.27 前半・後半を含めた総合成績を掲示しています。レポート返却場所にて。確認してください。};};

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