この実験の要点
- 消音制御の目的
- 伝達関数とは何か? ...
システムの入出力関係を s の有理多項式関数で表現したもの.
s に jω を代入したときの伝達関数(複素数)のゲイン(大きさ)と位相(角度)は,つぎの物理的意味を持つ:
- ゲイン ... 角周波数ωの正弦波信号を入力したとき,入力信号の何倍の振幅の正弦波信号が出力されるか?
- 位相 ... 角周波数ωの正弦波信号を入力したとき,入力信号に対して出力信号がどれだけ進むか?
- 周波数応答法とは何か?
上記伝達関数の物理的意味を利用して,
様々な角周波数の正弦波を入力することにより,
実システムの動特性をよく近似する伝達関数を求めるための方法.
具体的には,まず,様々な角周波数の正弦波信号を入力する実験を行い,ゲインと位相を記録する.
次に,s = jω において,このゲインと位相をよく近似する伝達関数を最小自乗法等によって求める方法である.
- H∞制御とは何か?
与えられた制御対象に対して,つぎの条件を満足する補償器を求め,その補償器を用いて制御を行うこと.
- 閉ループ系が安定である
- 閉ループ系の伝達関数の全周波数におけるゲインがある決められた値よりも小さい
- モデル化誤差とは何か?
現実の制御対象と,そのモデル(ノミナルプラント)のずれ.
- ノミナルプラントの次数が高い ... 利点:モデル化誤差が小さい,良い制御性能が得られる.欠点: 補償器設計・実装のコストが大きい
- ノミナルプラントの次数が低い ... 利点:補償器設計・実装のコストが小さい,欠点:モデル化誤差が大きい,制御性能が悪い
- 重み関数とは何か?
モデル化誤差のゲイン特性を表す伝達関数.
制御系が安定となるために,全周波数帯域で,モデル化誤差のゲイン特性よりも重み関数のゲイン特性が大きくなるように重み関数を決定する.
- 重み関数を大きくしすぎると,制御性能が悪くなる.
- 重み関数を小さくしすぎると,制御系が不安定になる.
できるだけ良い制御性能を達成するために,モデル化誤差をできるだけタイトに覆うように重み関数を決定する.
Yasuhide Kobayashi
Last modified: Thu May 6 08:26:25 JST 2004