本実習の要点
- 消音制御の目的は何か?
一般の消音システムでは,上流側の騒音が,下流側で聞こえにくくすること.
今回の実験装置では,一次音源 SPK1 の駆動信号 w からエラーマイクの出力信号 z までの伝達関数のゲインを小さくすること
- 伝達関数とは何か?
システムの入出力関係を s の有理多項式関数で表現したもの.
s に jω を代入したときの伝達関数(複素数)のゲイン(大きさ)と位相(角度)は,つぎの物理的意味を持つ:
- ゲイン ... 角周波数ωの正弦波信号を入力したとき,入力信号の何倍の振幅の正弦波信号が出力されるか?
- 位相 ... 角周波数ωの正弦波信号を入力したとき,入力信号に対して出力信号がどれだけ進むか?
- 周波数応答法とは何か?
上記伝達関数の物理的意味を利用して,
様々な角周波数の正弦波を入力することにより,
実システムの動特性をよく近似する伝達関数を求めるための方法.
具体的には,まず,様々な角周波数の正弦波信号を入力する実験を行い,ゲインと位相を記録する.
次に,s = jω において,このゲインと位相をよく近似する伝達関数を最小自乗法等によって求める方法である.
- H∞制御とは何か?
与えられた制御対象に対して,つぎの条件を満足する補償器を求め,その補償器を用いて制御を行うこと.
- 閉ループ系が安定である
- 閉ループ系の伝達関数の全周波数におけるゲインがある決められた値よりも小さい
- モデル化誤差を取り扱うための方法
摂動モデルを導入する.
ただし,性能向上のために,
摂動モデルの保守性ができるだけ低くなるように重み関数を選ぶ.
Yasuhide Kobayashi
Last modified: Thu Aug 7 00:16:13 JST 2003