一般化プラントデータを作成する

周波数応答データ(spk1.dat, spk2.dat) に基づき,一般化プラントのデータ(ノミナルプラントおよび重み関数)を作成します.
ここでの作業目的は,モデル化誤差に対する消音制御系のロバスト安定性を確保し,なおかつ制御性能をできるだけ向上させるために, Gyu(s) のモデル化誤差をできるだけ小さく見積もることです.
具体的には,モデル化誤差をできるだけタイトに覆う重みを設定します.

以下の作業は Matlab上で行います.

  1. nominal.m を実行する.

    つぎのように入力してください:
    >> nominal
        
    周波数応答実験の結果を近似して,4 つの伝達関数 Gzw(s), Gyw(s), Gzu(s), Gyu(s) を求め,その Bode 線図を周波数応答実験結果に重ねて表示します.
    実験点(青)と近似曲線(赤)が大体重なっていることを確認してください.
    約 40Hz 以下の低周波域と約 400Hz 以上の高周波域では,両者は重なっていなくても構いません.


    実行例:

    Gzw の周波数応答(実験結果,青点)とノミナルモデルの Bode 線図



    Gzw の周波数応答(実験結果,青点)とノミナルモデルの Bode 線図



    Gzw の周波数応答(実験結果,青点)とノミナルモデルの Bode 線図



    Gzw の周波数応答(実験結果,青点)とノミナルモデルの Bode 線図


  2. weight.m を実行する

    つぎのように入力してください:
    >> weight
        
    Gyu(s) のモデル化誤差と重み関数のゲイン特性が表示されます.


    加法的摂動と重み関数のゲイン特性


    このグラフを見て,重み関数のパラメータを調節します.
    重み関数のゲイン(赤線)が,モデル化誤差(青点)を タイトに上から覆うように 重み関数のパラメータを調整してください.
    すき間をあけすぎると,制御性能を良くすることができません.
    逆にモデル化誤差よりも重み関数が小さくなってしまうと, 制御系が不安定になることがあるので注意してください.

    具体的には, ファイル weight.m の以下の部分をテキストエディタで編集します.

    %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
    % 加法的摂動の重み関数を設定 %
    %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
    w0 = 0.016;
    w1 = 2*pi*60;
    w2 = 2*pi*400;
    W = nd2sys(w0*w2*[1, w1], w1*[1, w2]);
    	
    上の例では,以下のように W(s) を設定しています:

    W(s) = w0 w2 (s + w1) / (w1 (s + w2))


    nd2sys の第一引数 w0*w2*[1, w1] が W(s) の分子多項式を表し, 第二引数 w1*[1, w2] が分母多項式を表しています.

Yasuhide Kobayashi
Last modified: Wed Apr 28 13:31:02 JST 2004