まず，インストール CD 等を使用して，Red Hat Linux をインストールします． ここでは，Linux Magazine 2003 年 1 月号の付録 CD を使って，Red Hat Linux 8.0 をインストールしました．
今後の設定作業が容易になるよう，必要に応じて以下の作業を行います．
- telnet 接続を可能にする．
インストール直後は，外部から接続しようとすると connection refused となるかもしれません． この場合は，telnet-server パッケージがインストールされていないので， これをインストールする必要があります．
インストール後，telnet のサービスを有効にします．
GNOMEメニュー→サーバ設定→サービスで，「サービスの設定」ダイアログを開き，telnet にチェックを入れて，保存，終了します．
これでも connection refused となる場合は，ファイアウォールの設定を変更します． GNOMEメニュー→システム設定→セキュリティレベルで，「セキュ リティレベルの設定」ダイアログを開き，カスタマイズ→信頼で きるデバイスの eth0 をチェック, 着信を許可の Telnet をチェッ クします．
- Ctrl キーと Caps Lock キーを入れ換える．
タッチタイプの場合には，Ctrl キーは，a の左隣にあった方が，
楽と思います:
/etc/sysconfig/keyboard を次の一行に変更:KEYTABLE="defkeymap ctrl"
その後，keytable を restart します:# /etc/init.d/keytable restart キーマップを読み込み中: [ OK ] システムフォントを読み込み中: [ OK ]
X 起動時以外は，これで入れ替わります．
さらに，X 使用時にも Ctrl と Caps Lock を入れ換えるためには， /etc/X11/XF86Config の，Section "InputDevice" の中の，# Option "XkbOptions" "ctrl:swapcaps"
のコメントを外し，その後，X を再起動します． これは，仮想コンソールで，# init 3 # init 5
とすれば OK です． - gcc をインストールする
カーネルのコンパイルのために必要です． Red Hat Linux の場合，デフォルトでインストールされません．
- ncurses, ncurses-devel
Red Hat 8.0 の場合，ncurses 及び ncurses-devel がインストー ルされていないと，カーネルのコンパイルができません． (正確には，make menuconfig)# rpm -qa | grep ncurses ncurses-5.2-28 ncurses-devel-5.2-28
関連情報:
- http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/kernel-docs-2.2/nfsroot.txt.html
- http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/NFS-Root-Client.html
以下では，実験機を gomana, サーバを suiba として説明します．
- / ディレクトリに，gomana がマウントするファイルを置くディレクトリを作成します:
# cd / # mkdir tftpboot # mkdir tftpboot/gomana # cd /tftpboot/gomana # mkdir bin dev etc home lib root sbin usr var proc mnt boot tmp # chmod 777 tmp
- gomana の /etc ディレクトリを準備します．
最初にサーバの /etc をそのままコピーして，その後必要箇所を編集します．# cd / # cp -a /etc /tftpboot/gomana
ファイルを適宜編集します:- /tftpboot/gomana/etc/sysconfig/network の HOSTNAME を
gomana に修正します．
- /tftpboot/gomana/etc/fstab を編集します．
[root@suiba dev]# cd /tftpboot/gomana/etc/ [root@suiba etc]# vi fstab [root@suiba etc]# cat fstab #LABEL=/ / ext3 defaults 1 1 ← コメントアウト #LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2 ← コメントアウト none /dev/pts devpts gid=5,mode=620 0 0 none /proc proc defaults 0 0 none /dev/shm tmpfs defaults 0 0 #/dev/hda3 swap swap defaults 0 0 ← コメントアウト /dev/cdrom /mnt/cdrom iso9660 noauto,owner,kudzu,ro 0 0 /dev/fd0 /mnt/floppy auto noauto,owner,kudzu 0 0 suiba:/tftpboot/gomana / nfs ← 追加 suiba:/bin /bin nfs ← 追加 suiba:/sbin /sbin nfs ← 追加 suiba:/usr /usr nfs ← 追加 suiba:/lib /lib nfs ← 追加 suiba:/home /home nfs ← 追加
- /tftpboot/gomana/etc/rc.d/rc.sysinit を編集します．
ファイルシステムのチェックはサーバがやればよく，実験機でやる必要はありません． gomana がブートして rc.sysinit が動き出したらすぐに サーバから /bin, /sbin 等を NFS マウントするように rc.sysinit を編集します．→ 編集例(suiba で diff /tftpboot/gomana/etc/rc.sysinit /etc/rc.sysinit とした結果)
- nfs ファイルシステムを unmount しないように，rc.d 以下の
K20nfs を変更(消してもいいが，頭を小文字に変更する):
# cd /tftpboot/gomana/etc/rc.d/ # mv rc0.d/K20nfs rc0.d/k20nfs # mv rc1.d/K20nfs rc1.d/k20nfs # mv rc2.d/K20nfs rc2.d/k20nfs # mv rc3.d/K20nfs rc3.d/k20nfs # mv rc4.d/K20nfs rc4.d/k20nfs # mv rc6.d/K20nfs rc6.d/k20nfs
- /tftpboot/gomana/etc/hosts の修正
127.0.0.1 suiba localhost.localdomain localhost
の suiba を，gomana に変更します．
- 起動スクリプト(ネットワーク用)の修正
通常，NFS ファイルシステムは，/etc/init.d/netfs によりマウントされますが，今の場合は，rc.sysinit の最初の方でマウントするようにしているので，
netfs が動かないようにします:
# cd /tftpboot/gomana/etc/rc.d # mv rc3.d/S25netfs rc3.d/s25netfs # mv rc4.d/S25netfs rc4.d/s25netfs # mv rc5.d/S25netfs rc5.d/s25netfs
また，一度 /sbin /lib 等をマウントすると，アンマウントできないので(何故?)，シャットダウン時にも netfs が動かないようにします:# mv rc0.d/K75netfs rc0.d/k75netfs # mv rc1.d/K75netfs rc1.d/k75netfs # mv rc2.d/K75netfs rc2.d/k75netfs # mv rc6.d/K75netfs rc6.d/k75netfs
- /tftpboot/gomana/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
の IPADDR= を，gomana のアドレスに修正．
- シャットダウン時に，ネットワークが切れないようにするために，
/tftpboot/gomana/etc/init.d/network へのリンクを変更．
# cd /tftpboot/gomana/etc/rc.d # mv rc0.d/K90network rc0.d/k90network # mv rc1.d/K90network rc1.d/k90network # mv rc6.d/K90network rc6.d/k90network
- inittab を変更
Red Hat 8.0 はデフォルトで X が起動するようになっていますが， 実験機はとりあえず X が起動しないようにしておき， フロッピィディスクでブート後，マウス，カード，モニタ等の設定を行うのが無難でしょう．
このためには，/tftpboot/gomana/etc/inittab の id:5:initdefault の 5 を 3 にすれば OK です．
X がうまく設定できたら，5 に戻しましょう．
- gomana の /etc/exports を消す．
- gomana で nfs サーバが動かないようにする．
# cd /tftpboot/gomana/etc/rc5.d # mv S60nfs s60nfs
- ネットワークがすぐスタートするようにする．
# cd /tftpboot/gomana/etc # mv rc2.d/S10network rc2.d/S01network # mv rc3.d/S10network rc3.d/S01network # mv rc4.d/S10network rc4.d/S01network # mv rc5.d/S10network rc5.d/S01network
- /tftpboot/gomana/etc/sysconfig/network の HOSTNAME を
gomana に修正します．
- ブートに必要なバイナリファイルをコピーする．
ブートプロセスは，init の起動から始まります． init が動き出すと /etc/inittab が読みこまれ， これに従って，/etc/rc.d/rc.sysinit が実行されます． その後，サーバのファイルシステムがディスクレスマシンに NFS マウントされることになります．
よって，ディスクレスマシンブート時に， サーバの /sbin, /bin, /lib がマウントされるまでに rc.sysinit の実行に必要とされるファイルおよび，それがダイナミックリンクしているライブラリをコピーします．
(ディスクの容量のことを気にしなければ， /sbin, /bin, lib をすべて /tftpboot/gomana にコピーしても OK です)# cd /sbin # cp -a init initlog sysctl hwclock consoletype setsysfont update mingetty /tftpboot/gomana/sbin/ # cd /bin # cp -a bash date dmesg dumpkeys echo grep hostname kbd_mode loadkeys \ mount rm sed setfont sh sleep unicode_start /tftpboot/gomana/bin/ # cd /lib # cp -a ld-2.3.2.so libattr.so.1.0.0 libm-2.3.2.so libresolv.so.2 \ ld-linux.so.2 libc-2.3.2.so libm.so.6 librt-2.3.2.so libacl.so.1 \ libc.so.6 libpthread-0.10.so librt.so.1 libacl.so.1.0.0 libdl-2.3.2.so \ libpthread.so.0 libtermcap.so.2 libattr.so.1 libdl.so.2 libresolv-2.3.2.so \ libtermcap.so.2.0.8 /tftpboot/gomana/lib/
システムによっては，コピーすべきファイルが上記と異なるかもしれません．うまくいかない場合は，rc.sysinit を読んで，必要なファイルを調べてください．
ただし，ダイナミックリンクされているライブラリは rc.sysinit には直接記載されていません．これは次のようにして ldd コマンドで調べることができます:# cd /sbin # ldd init libc.so.6 => /lib/libc.so.6 (0x42000000) /lib/ld-linux.so.2 => /lib/ld-linux.so.2 (0x40000000)この結果から，init に /lib/libc.so.6，/lib/ld-linux.so.2 がダイナミックリンクされていることがわかります．ただし，これはシンボリックリンクなので，それぞれ実体のファイル /lib/libc-2.3.2.so と /lib/ld-2.3.2.so も必要です．
- その他
- /boot/kernel.h をコピー
# cd /tftpboot/gomana/ # cp /boot/kernel.h boot/
- /dev/mouse を作成
# cd /tftpboot/gomana/dev # ln -s psaux mouse
- /boot/kernel.h をコピー
gomana が suiba のファイルシステムをマウントできるようにします．
次のように /etc/exports を編集します:
/tftpboot/gomana gomana(rw,no_root_squash) /sbin gomana(rw,no_root_squash) /bin gomana(rw,no_root_squash) /usr gomana(rw,no_root_squash) /lib gomana(rw,no_root_squash) /home gomana(rw,no_root_squash) /var gomana(rw,no_root_squash)この後，サーバのファイルシステムを gomana に開放します:
GNOME メニュー→サーバ設定→サービスで， サービスの設定ダイアログを出します．
