本論文では,多目的制御系設計問題において一般化プラントの状態の一部を ある安定なシステムを用いて生成できる場合に, そのシステムを陽に持つ補償器の設計法を提案している. 具体的には,与えられた問題を,一部の状態が観測できるとした等価な問題 に帰着できることを示し,さらにその等価な問題に対する解と安定なシステ ムを用いてもとの問題の補償器が得られることを示している. 提案手法はつぎの利点を持つ: (1)LMI を用いて一般的な設計仕様を考慮しかつ一般化プラントの状態を生 成するシステムを陽に持つ補償器を得ることができる; (2)補償器設計時の LMI の解を求めるために必要な計算量を低減させること ができる; (3)制御則の計算時間を短縮することができる. また,離散時間入力むだ時間系の場合にシミュレーションを行い, 実際に制御則の計算時間が短縮されることを確認している.