本論文では,一次元ダクト系に対する消音制御系の低コスト化を図るために, サンプル値H∞制御を用いて,サンプリング周期の長いディジタル補償器を設 計する.従来の設計手法と実験結果を比較することにより,サンプル値H∞設 計の有用性を示す.具体的には,以下の二点を示す:(1)従来の連続時間H∞制 御系設計では,制御系が安定となるためにサンプリング周期を短く設定する必 要があるが,サンプル値H∞制御系設計ではその必要はない;(2)従来の離散化H ∞制御系設計に比べて,サンプル値H∞制御系設計の方が,ナイキスト周波数 以上の高周波外乱に対する制御性能の劣化が少ない.