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2 実験装置

実験装置のブロック線図を図1に示す.

パソコンから外乱入力 $ w$ を生成し,ローパスフィルタ(LPF),パワーアンプ (AMP)を介して,一次音源スピーカ(SPK1)を駆動することにより,ファン等の 騒音を模擬する. 騒音は,リファレンスマイクで検出され,プリアンプ(AMP),ローパスフィ ルタを通して,観測出力 $ y$ としてパソコンに入力される. この情報に基づき,適切な制御入力 $ u$ を計算し, 二次音源スピーカ(SPK2)を駆動する. 騒音と二次音は破壊的干渉(destructive interference)を起こし, 二次音源より下流側(図では左側)では,音圧レベルが低減される. その結果はエラーマイクを介して,評価出力 $ z$ としてパソコンに入力され る.

観測出力 $ y$ から,適切な制御入力 $ u$ の計算を行う部分は, 補償器(controller)と呼ばれ,本実験装置では,PC のプログラムとして実装 される. 良い能動消音制御性能を得るために, 外乱入力 $ w$ が評価出力 $ z$ に与える影響をできるだけ小さくする補償器を 設計することが望ましい. このような補償器を設計するための代表的な問題は, 次に示す $ {\mathcal{H}_\infty}$ 制御問題である:

問題 1 ( $ {\mathcal{H}_\infty}$ 制御問題)   与えられた伝達関数 $ G(s)$ に対して, 図2の閉ループ系を内部安定化し, かつ,$ w$ から $ z$ までの伝達関数(閉ループ伝達関数)の $ {\mathcal{H}_\infty}$ ノルムを 最小化する補償器 $ K(s)$ を求めよ.

図: $ {\mathcal{H}_\infty}$ 制御問題
\includegraphics[width=5cm]{cl.eps}
ここで,$ G(s)$ は一般化プラントと呼ばれる. $ {\mathcal{H}_\infty}$ ノルムは, 安定な伝達関数に対して次のように定義される(Bode 線図におけるゲインの最 大値と理解すれば良い).

$\displaystyle \Vert M(s) \Vert _\infty := \sup_{\omega} \vert M(j\omega)\vert$ (1)

1に対応する一般化プラント $ G(s)$ がわかれば, $ {\mathcal{H}_\infty}$ 制御問題を解くことにより, 望ましい補償器を得ることができる.


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Yasuhide Kobayashi
平成15年4月8日