実験装置のブロック線図を図1に示す.
パソコンから外乱入力 を生成し,ローパスフィルタ(LPF),パワーアンプ (AMP)を介して,一次音源スピーカ(SPK1)を駆動することにより,ファン等の 騒音を模擬する. 騒音は,リファレンスマイクで検出され,プリアンプ(AMP),ローパスフィ ルタを通して,観測出力 としてパソコンに入力される. この情報に基づき,適切な制御入力 を計算し, 二次音源スピーカ(SPK2)を駆動する. 騒音と二次音は破壊的干渉(destructive interference)を起こし, 二次音源より下流側(図では左側)では,音圧レベルが低減される. その結果はエラーマイクを介して,評価出力 としてパソコンに入力され る.
観測出力 から,適切な制御入力 の計算を行う部分は, 補償器(controller)と呼ばれ,本実験装置では,PC のプログラムとして実装 される. 良い能動消音制御性能を得るために, 外乱入力 が評価出力 に与える影響をできるだけ小さくする補償器を 設計することが望ましい. このような補償器を設計するための代表的な問題は, 次に示す 制御問題である:
ここで, は一般化プラントと呼ばれる. ノルムは, 安定な伝達関数に対して次のように定義される(Bode 線図におけるゲインの最 大値と理解すれば良い).
図1に対応する一般化プラント がわかれば, 制御問題を解くことにより, 望ましい補償器を得ることができる.